産業看護師(企業看護師)の働き方とは?
2021年8月30日 掲載
看護師が働く場所って病院やクリニックだけなのかな?
病院やクリニックの他に企業に常駐する「産業看護師」という働き方もあるんですよ
そうなんだ!どんな働き方をするんだろう?
企業で働く従業員に対して健康チェックなどを行うんです
詳しく解説しましょう
目次
産業看護師とは
産業看護師とは、「事業者が労働者と協力して、産業保健の目的を自主的に達成できるように、事業者、労働者の双方に対して、看護の理念に基づいて、組織的に行う、個人・集団・組織への健康支援活動」のことを指します。
(引用;日本産業衛生学会 産業看護部会「産業看護師の定義」)
つまり、企業の事業者・従業員双方に対して健康支援活動を行っていく看護師のことを「産業看護師」と呼んでいるのです。
また、「産業看護師」は「企業看護師」という呼び名としても親しまれています。
日本産業衛生学会によると、産業看護師は、「働く人々の元気と職場や事業場の活性化を支援する産業保健専門職」と記述があり、産業医とともに企業全体の保健指導や健康管理を担っていく職種であるといえます。
産業看護師の業務について
産業看護師は企業の医務室や健康管理部門に所属し、業務をします。
主な業務内容
産業看護師は主に3つの業務があります。
1. 健康診断業務
従業員の健康状態のチェックと病気の早期発見を目的として、健康診断の企画や案内文書の作成から、実施、結果の管理・分析、保険指導までを行います。また、健康診断の他にも、生活習慣病を予防するセミナーを社内で開催したり、個別に健康指導を行うなど、「従業員の体の健康を守る業務」を遂行します。
2. メンタルケア
近年働き方改革にも見られるように、従業員のメンタルヘルスをサポートする風潮が強まっています。
産業看護師は、うつ病などの早期予防と発症後のサポートとして定期的にメンタルチェックを行ったり、
初期症状の従業員に医療機関の紹介を行うなど、「従業員の心の健康を守る業務」を遂行します。
3. 緊急時の応急処置
多く起こらないでほしいことではありますが、オフィスで突然従業員が倒れる・怪我をするといった際にファーストエイドに駆けつけます。
救急隊が到着するまでに、命を守る使命があります。
産業看護師の1日
産業看護師の勤務時間は、企業で勤務している従業員と同じ時間帯で働くため、9時出勤・18時退社が基本となります。
また、残業や夜勤はなく、月曜日〜金曜日の出勤となるため、生活リズムが整いやすい環境です。
1日の業務内容は、主に書類作成などのデスクワークとカウンセリングであるため、比較的体に負担をかけることはありません。
病院看護師との違い
では具体的に病院看護師と産業看護師はどのような違いがあるのでしょうか?
産業看護師 | 病院看護師 | |
---|---|---|
主な業務スタイル | デスクワーク | 立ち仕事 |
緊急性の高い業務 | 少ない | 多い |
勤務形態 | 固定制 | シフト制 |
夜勤の有無 | × | ○/△ |
主な業務と業務方法
産業看護師の仕事は、デスクワーク中心のため、病棟巡回など立ち仕事が中心の病棟看護師と異なり、身体的負担がかかる場面はほとんどありません。
また産業看護師は「予防医療」の観点で活動しており、教育や指導の場面が多いため、点滴や内服投与など看護師の処置が患者の命に関わるという場面が多々存在する病院看護師と比べて、緊急性の高い業務は少ないです。
勤務形態と夜勤
産業看護師の勤務形態は、属する企業の就労条件に準ずるため月曜日〜金曜日までの固定制となっており、シフト制が主流の病院看護師と異なります。
そのため、病院看護師ではほぼ必須と言える夜勤業務がないのが特徴です。
平均給与
産業看護師の給与は、一般企業の会社員と同様になるため、年収約400〜600万円が平均となっています。
(出典: 厚生労働省のデータを基にセルバ作成)
厚生労働省の調査では、看護師全体の年収は約482万円であることから、産業看護師は平均よりも高い年収の傾向にあります。
また、病院看護師の昇給に比べて企業に属する産業看護師の方が安定的に昇給が見込め、会社の規模が大きい又は、平均年収の高い業界にある企業であると給与の上がり幅は更に大きくなります。
産業看護師のメリット
これまで、産業看護師の業務や給与について詳しくみてきましたが、実際にそのメリットはどのようなものがあげられるのでしょうか?
①ワークライフバランスを向上できる
病院看護師として働いていると、夜勤があるのはもちろん、シフト制であることから、休みも不安定となり、なかなか思い通りの休日スタイルができないことが多いです。
一方、産業看護師は固定休かつ残業がほとんどないため、家族との時間を多く取れたり、休日のイベントに行きやすくなるなど、プライベートを充実させたい方にとってとても有意義な働き方となります。
②企業の社員と同じ福利厚生を受けられる
産業看護師は医療職ではありますが、企業に採用された会社員であることに変わりはありません。
そのため、その会社の社員と同様に福利厚生や手当を受けることができます。
福利厚生が受けられる病院もありますが、医務室を配置しているような大企業になると、福利厚生が手厚いと言われています。
一例として、
・テーマパークの割引
・住宅手当
・子供手当の支給や保養所の割引利用
・自社持株制度
など、病院勤務では受けられないような福利厚生が受けられるのは、特徴的です。
③精神的、体力的負担が少ない
20‐30代では経験を積むために病棟看護師になったという方でも、将来性を考えると身体的負担がなるべく少ない安定した仕事に就きたいと考える方もいるのではないでしょうか。
産業看護師はデスクワーク中心の仕事内容ですので、長期間働くことができます。
また、緊急の対応は少ないため、常に患者の体調を気にしながら緊張していなければならない病棟看護師と比べると精神的負担は圧倒的に少ないと言えます。
病棟ではいつ呼ばれるかわからないナースコールや予測できない検査が入るなどスケジュールを立てにくく、今行っている中断されることでストレスを感じる場面も多々ありますよね。
産業看護師はしっかりスケジュールを立てて仕事をこなしていくことができるため、ストレスの軽減に繋がります。
産業看護師になるには
では実際に産業看護師になるにはどうしたら良いでしょうか。
産業看護師は看護師免許のみで従事することができます。
しかしながら、上記でも述べたように、病院看護師に比べ給与面でも条件面でもメリットが多く、倍率が高い傾向になります。
また、産業看護師の求人は非公開求人となっていることが多いため、産業看護師としての就職を目指すには、できるだけ多くの求人サイトに登録し、アドバイザーに自分の希望をしっかりと伝えましょう。
産業看護師を募集している企業もさまざまなため、自分の働き方や条件面も事前に考えておくと、産業看護師の求人募集を見つけたときにすぐに行動できるので有効的です。
まとめ
今回は、産業看護師の働き方についてみてきました。
産業看護師の特徴は
産業看護師は、企業にとっては必要不可欠な存在であり、企業の健康管理の柱でもあります。
病院での治療よりも、健康サポートをしたい!というあなたはぜひ産業看護師への転職を検討してはいかがでしょうか。